「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」というフレーズ、聞いたことがありますか?実はこのフレーズ、イタリア人シェフのジーノ・ダカンポ(Gino D’Acampo)さんがテレビ番組で発したもの。海を越えて日本でも大ブレイクし、今では「聞いたことがあるフレーズだけど、どういう意味なの?」と思っている人もいるかもしれません。
そこで、この奇妙な発言が生まれたいきさつやブレイクの理由、そして日本とイタリアそれぞれでウケた本当の意味について、調査してみましょう。
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」とは?
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」は、イタリア人シェフがなにげなく発したツッコミです。
もともとはイタリアの慣用句ですが、それをアレンジして披露されているため、この言葉自体はこの番組の中で生まれました。しかし、このフレーズだけでは意味がさっぱり分かりません。
それでは「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」が生まれた経緯を見てみましょう。
きっかけはイギリス人司会者の一言だった
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」という言葉を発したのはイタリア人シェフのジーノ・ダカンポさんですが、その発言の引き金になったのは、イギリス人司会者の一言でした。
ジーノ・ダカンポさんが番組内でカルボナーラを作っていたとき、イギリス人司会者の方が「ここにハムがあったら、イギリス式のカルボナーラになるわ」と言ったのです。するとジーノ・ダカンポさんが冗談でキレて「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になると言っているようなものだぞ!」と反論したのです。
なぜジーノ・ダカンポはキレたのか
ジーノ・ダカンポさんがキレたのは冗談半分で、番組を盛り上げるためのものですが、もともとカルボナーラはイタリア・ローマ発祥の料理。祖国の料理を番組内で紹介していたジーノ・ダカンポさんですが、イギリス人司会者に「ハムがあればイギリス式になる」と言われたことで、カルボナーラの発祥地であるイタリアの出自として、黙っていられなかったのでしょう。
スタジオで大ウケした
ジーノ・ダカンポさんの「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」という発言は、スタジオにいたイギリス人たちが膝から崩れ落ちるほどにウケていました。おばあちゃんに車輪をつけても自転車にはならないように、イタリア料理であるカルボナーラがイギリス式になることはないという皮肉がこもった、上手な言い回しではあります。
ジョークが光るラテン系の愉快な口調、そして皮肉めいた冗談もよく聞かれるイギリスで、ここまでウケたのには理由がありました。
実際どういう意味なの?
ジーノ・ダカンポさんが言った「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」というのは、もともとイタリアにある古典的な慣用句であり、ジョークなのだそうです。イタリアには「ありえない仮定の話をしても意味がない」という意味で使われる「Se mia nonna avesse le ruote, sarebbe una carriola」(もしおばあちゃんに車輪があったら、それは手押し車だ)という言葉があります。「もしもの話をするな」という意味ですね。
今回、イギリス人司会者が「イギリス式のカルボナーラ」というありえない前提を出してきたので、ジーノ・ダカンポさんは上手に切り返したのでしょう。
実はイギリスでは別の意味が連想されていた
ジーノ・ダカンポさんは、カルボナーラにイギリス式も何もないという主張をするために「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」と発言しました。しかし、イギリス人出演者たちは別のことを連想していたのです。ジーノ・ダカンポさんは“If my grandmother had wheels, she would’ve been a bike!”という英語を使いました。この「bike」は、もちろん「自転車」という意味で使ったのですが、イギリスで「bike」は「売春婦」という意味があります。
そのため、イギリス人出演者は「おばあちゃんに車輪をつけたら売春婦になる」だと思い込み、崩れ落ちるようにウケていたのです。
なぜ日本でも流行ったのか
上記を見てみると、イタリアでもともと伝わってきた慣用句を、ジーノ・ダカンポさんが英語にしてアレンジを加え、披露しています。そして、それに対しイギリス人が爆笑するという、文化や言語の違いによって皮肉めいた面白さが生まれた名シーンとして有名になりました。日本でも話題になったのは、言葉の違いでウケるポイントが変わって興味深いというだけでなく、英語が分かる人にしか理解できないジョークのセンスという点で、英語学習者が話題に出していたのですね。
日本語で近い意味の言葉はある?
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」のもとになったイタリアの慣用句は「もしおばあちゃんに車輪があったら、それは手押し車だ」です。これに近い日本語というと、以下のものが挙げられます。
- 机上の空論
- それを言い出したらキリがない
- そもそも話の土台が違う
- へそで茶を沸かす
相手の言っていることがばかばかしいという意味よりは「前提が違う話をしたって仕方ないだろう?」と諭すようなニュアンスが正しいでしょう。
イタリアではよく使われるの?
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」のもとになったイタリアの慣用句は、国民が口語でよく表現するものであり、明確な起源や由来などは分かっていないそうです。しかし、上記の日本語表現と同じように、非現実的な言い訳や主張を揶揄する際によく使われているとか。
なお、ポルトガルやスペインなど似た言語を使う国でも、おばあちゃんの車輪という表現はよくされるそうですよ。ユニークですね!
まとめ
「おばあちゃんに車輪つけたら自転車になる」という発言は、イタリアに古くから伝わる慣用句を英語にして、アレンジを加えてイギリスで披露されたものです。発した本人ジーノ・ダカンポさんは、あくまで「カルボナーラはイタリアのものだ」と言いたかっただけなのですが、イギリス人出演者の間では別の意味も連想できてしまい、意図せず大爆笑を生んでしまった話題のシーンとなりました。
日本でも、英語学習者の間で盛り上がった名シーンと言うことで、これを機に英語のボキャブラリーが増えた人も多かったかもしれませんね。
